本を読むのがエラく遅いのに
三、四冊同時に回し読みしているのでなかなか一冊が読み終わらない。
ところが、先日新宿に飲みに行った
(めずらしく三丁目、ゴールデン街をハシゴしたのです)
ついでにたち寄った紀伊国屋書店で買った
『出版業界最低辺日記・エロ漫画編集者「嫌われ者記」』
(塩山芳明著/ちくま文庫)はまことに面白くて一気に読んだ。
著者はベテランのエロ漫画下請け編集者。
90年から05年までものあいだ、
青少年条例による弾圧や成人誌のコンビニ販売停止などで、
ひたすら底なしに落ちていく(文字通り)最低辺出版業界の様子を克明に日記形式で綴っている。
ぼく自身はこの種の漫画には縁も興味もなく
(ていうか、漫画そのものにあまり関心がなく)、先入観で言えば、オタク丸出しな世界だとおもっていた。
ところがこの本からはオタクの閉鎖的な匂いはいっさいしてこない。
それどころか著者は身辺の事柄はもちろん、経済、文学、カルチャー、
行政など、ありとあらゆるものに眼を向け、毒を吐き散らしている。この人はいろんなことに怒っているけど、たんなる怒りではなく、ユーモアと紙一重な印象さえ受ける。
それは底辺で生き抜くための術のようで、その体当たり加減と無謀さが痛快。
それにしても、
〈久々に燃えて編集してますよが、編集が燃えるような雑誌はえてして売れぬもの)〉
〈人柄がいいだけの編集と(印刷)業者をセットで用いてはいけない(片方だけならお互いに牽制し合い、良い結果を生む場合も)〉などといった、
ちょっとした覚え書きはエロだろうがなんだろうが、
どの出版業界でも共通するものですね。
筆者はエロ漫画が売れないことをたびたびボヤいていたが、
いまこっちの写真集業界もなかなか厳しいんです。
じつは昨日もそんな壁をモロに感じたばかりの一日だったわけです。
ま、がんばりますけどね。